こういうことって人生の中でそう経験するもんじゃないし、次回絶対に困ると思って備忘録代わりに書いてみようと思う今回のお話は「お墓に名前を彫る(名入れ)手続きや料金相場」です。
我が家の場合、亡くなった母のために父が建てたお墓に、このたび父本人が入ることになりました。
その、両親のお墓に、今回、父の名を刻むにはどうしたらいいのかというお話です。
ちなみに、うちの地方なのか宗派なのか、納骨は四十九日の法要にあわせて行います。
でも、正直、亡くなってから納骨までのたった四十九日では、なかなか気持ちの整理もつかないし、動けば動くほど「父がもういないんだ」という思いを痛感させられて、時々、やりきれなくてちぎれそうになります。
とはいえ、お墓に名前を入れてもらう一連の作業に2週間~3週間程度かかることもあるそうなので、動くなら早めに手配しないと納骨に間に合わなくなります。
この、2週間~3週間という期間は、単に墓石を外して文字を彫る作業に使うだけじゃなく、墓苑の管理者とのやり取りなども含むそうです。
ちなみに今回のうちの場合は所有権ではなく永代使用権みたいなヤツです。
墓のある土地が誰のものかで名入れの手続きや料金に差が出る
お墓に名入れをするということは、すでに納骨するお墓が存在しているということですよね。
問題は、そのお墓がどんな土地に立っているか、要するに土地の持ち主は誰か、です。
お墓は好き勝手に空いた土地があればどこだろうが建ててもいいワケじゃなく、墓地として認可された土地だけに埋葬が許可されます。
実は、亡くなった故人の遺体の管理はかなり法的に徹底されていて、亡くなった方を運ぶ、荼毘に付す、埋葬する、そのすべてに自治体の許可が必要なのです。
いつどこで亡くなった誰の遺骨がどこに埋葬されているのかを、書面できちんと残すように法的な義務が課せられています。
まぁ、お墓に2人分を祀っていると思っていたら遺骨が3人分出てきたとかになると、一気にサスペンスですもんね・・・
墓地として埋葬が許される具体的な場所は、
- 墓地として認可を受けた個人の所有する土地
- 民間の主に宗教団体や公益法人が運営する墓苑(民営墓地)
- 都道府県や市町村といった自治体が運営する墓苑や共同墓地(公営墓地)
このあたりです。
まぁ、他にも墓石がない霊廟などのスタイルもありますけど、今回は墓の名入れの話なのでここでは割愛しますね。
まず、田舎なんかでよく見かける「自分の土地の一部に墓地がある」スタイルの場合、土地の所有権は自分のものなので、単純に墓に名を入れるための費用だけがかかってきます。
墓の立地条件や地域差もありますが、2万~5万程度あたりが多いと言われてはいますが、正直ピンキリです。
ほら。
田舎とかね、昔、土葬が主流だった名残で、墓がものすごい山奥にあるなんて場合、山が険しすぎて車が入れないから簡単には墓石を持ち帰れないことがあるんです。
名入れのために墓石を持ち帰る、もしくは機材を持ち込むのに手間がかかる場合は、それなりにお値段もお高くなってしまいます。
綺麗に整備された霊園ならこういった心配は要らないことが多いです。
でも、綺麗に整備された霊園、中でも宗教団体などが運営する民営墓地では、指定された石材店以外は認めないという規約があることがあったり、指定された石材店以外の業者が名入れをする際には霊園の運営会社に手数料を納めなければいけないケースがあったりします。
そもそも、民間で霊園を運営する際の認可は、宗教法人か公益法人じゃないと下りません。
これはお墓という特性上簡単には潰れない、長く続く団体じゃないと困るからです。
だって、途中で運営会社が倒産しちゃったらお墓が維持できなくなっちゃいますよね?
実際には、石材店だったり葬儀屋さんだったりが管理運営していても、表立って霊園の所有(霊園の土地の所有)をしているのは宗教法人、みたいなスタイルだったりします。
ハイ来た!
霊園を実質的に牛耳っているのが石材店だったり、宗教団体から指定石材店のお墨付きをもらったりなど、要するに墓石の利権(縄張り)があったりするんですよ。全部が全部じゃないですけど。
だから、永代使用権を最初に購入する際の規約で「○○石材店以外の石材店を使う際には所定の手数料が必要」という約束をさせられていた、なんていうケースもあるのです。
そういった指定石材店がある場合、よその石材店を使うならマージン(手数料)がいるケースがあり、その分コストが圧迫されちゃうので高い請求が来たり、儲けが出ないという理由で名入れを断られたりすることがあります。
まずは、今あるお墓の土地が誰のものか(個人・宗教法人・自治体)を確認し、宗教法人の場合、指定石材店の有無や手数料の有無を確認しておきましょう。
ちなみに、納骨の際、埋葬許可書の原本を霊園を所有するお寺などに渡すことになったり、永代使用権の相続による名義変更が発生したりするので、霊園を所有するお寺などに出向く機会はあると思います。
手続きを石材店で代行してくれることもありますが、いずれにせよ、埋葬許可書は再発行の効かない書面ですので必ず事前にコピーを複数取っておきましょう。
うちのケースでは、お墓の永代使用権の証書が早い段階で手元にあったこと、だから墓苑を運営するお寺を早くから特定できたこと、墓苑名でインターネット検索したら、バッチリ指定石材店が載ってきたこと(石材店が墓苑の管理をしていた)で、割とスムーズに名入れの依頼が出来ました。
ま、正直、合い見積もりを取ってやろうと思っていたので数社の石材店に問いあわせたのですが、どうもイマイチ歯切れの悪い見積もりしかもらえなかったので不思議に思って調べたら、石材屋さんの縄張りがあることにいきついた、というわけです。
ちなみに今回のお値段4万5千円(税別)。
これは、今回の名入れ全体の料金であり、料金は文字数では左右されません。
45000円で請け負ったら、何文字でもOKってこと。
また、墓を建立した人など、生きている人の名前をお墓に刻む際は赤い文字を使いますが、今回、うちでは赤い文字だった父の名を黒くしてもらうのも同じ料金内でパッケージされていました。
他の業者も4万~5万程度で似たり寄ったりでした。うちの近所では、ですけど。
ただ、何度も言いますけど、墓苑ごとに運営方針が違うので、みんながみんな指定石材店があるわけじゃないし、他の石材店は手数料を吹っかけるみたいなのも全部が全部じゃないですよ。
公営墓地では、こういった石材店の指定なんかはほぼありません。
逆に、指定がない分、利権もないので価格競争になり、安めに請け負ってくれることも多いそうです。
ただし、墓のサイズや収めるお骨の人数など、規定があることが多いので、先祖代々、何人もの遺骨が納められている古いお墓の場合は、空きがあるのか、人数規定に引っかかっていないかなど、確認が必要です。
いずれにせよ、石材店でかなり詳しい話を聞かせてくれますので相談してみるといいでしょう。
また、もし墓石への名入れが間に合わなかったとしても、納骨する際に墓石を動かす作業を誰がするのか(自分たちで出来る程度のものか、石材店の助けがいるのか)も併せて要確認です。
いざ納骨、のタイミングで、墓石が重くて動かない・・・とかだと困りますもんね。
依頼した石材店が納骨の日時に墓まで出向いて墓石の移動などを請け負ってくれることがありますが、有償か無償かは要問合せですね。
ここまでをちょっとまとめると、
- 墓のある土地の所有者が誰か、立地条件はどうかによって名入れの料金が異なる
- 墓石の名入れを依頼する石材店はどこでもいいケースと指定があるケースがある
- 名入れには依頼から2~3週間かかるため、早めに依頼すること
- 納骨の際、墓石を動かすのは誰がするのかを先に決めておく
先に収められている故人の記述を確認する
基本的には、名入れを依頼した石材店が必要手続きについてを詳しく案内してくれるので、今回名前を入れる故人の記述も相応の対応をしてくれるはずなのですが、全部が全部親切丁寧な石材店ばかりじゃないし、ひょっとしたら考えられる困ったケースもあるので備忘録だししっかり書いておきますね。
うちの場合は、母が亡くなった折に父が建てたお墓にこのたび父が入ることになりました。
この時、今の墓石の、母が眠っている記述の横に、同じように父の名を刻んでもらうのですが、何を書いてもらうのかは宗教や宗派によって、もっと言えば、お寺ごとの方針によっても変わってきます。
基本的には、すでに収められている先に亡くなった故人の記述をそっくりなぞるように、同じ項目を入れていきます。
宗派ごとに違いますが、法名(戒名)、生前の名前、亡くなった年月日などとともに、一般的には、亡くなった時の年齢を記載します。
この、亡くなった時の年齢の数え方が、宗派ごと、というよりも、お寺ごとに方針が異なるので、もし、先に亡くなった方と今回亡くなった方の葬儀を行ってくれたお寺が異なる場合は注意が必要です。
例えば、「享年」と表したり「行年」を用いたり、「歳」と「才」、といった表現の違いもありますが、数え年か満年齢か、が一番大きな違いです。
これも、さまざまな方針があり、満年齢なら普段私たちが普通に使っている今の年齢をそのまま書きますが、数えなら1~2歳多く書くことになりますよね。
昔は、個人の誕生日が来ればその日に歳をとるのではなく、みんな、1月1日の元日に一斉に年齢が1個上がるのが普通でした。
だから、個別の誕生日を祝うなんてのはごく最近の風習なのです。
大晦日に生まれた生後1日の赤ちゃんでも、次の日に元日が来れば1歳なわけで、そうやって少しでも年齢をかさ増しして長生きしているように見せかけたかった、昔の人の生への願いが、なんか切ないですね。
今、行政など公的書類では数え年は法的に禁止され、すべて満年齢を使うように統一されているので、普段数え年を使うことはありません。
だからこそ慣れないので余計にややこしいのですが、数え年でも、みんな一律で1個だけ年齢が上がるケース、2歳上がるケース、その年の誕生日前なら1歳、誕生日後なら2歳上がるケースなど、何をどう加算しているのかは結構バラバラです。
これが、お墓に名入れをする際に彫り込む故人の年齢に関わってきます。
お寺によっては、「享年(満年齢)才」「行年(2つ加算)才」みたいに、方針がいろいろあるので、単純にお墓だけ見て「うちは行年って書いてあるからネットで行年齢を調べて石材店に発注すればいい」みたいなのは危険です。
特に、遠隔地から石材店に依頼する場合、石材店の担当の方にお墓に出向いてもらって確認してもらえるかを聞いておけば安心です。
一度、きちんとお寺や石材店に確認を取りましょう。
ちなみに、年齢の「歳」と「才」は、単に画数の問題で、画数が多いとうっかり墓石が欠けてしまうリスクが高まったりするので、画数の少ない「才」を使うことが多いそうですよ。
その他小ネタ
うちのお墓、このたび30年の時を経て、新たに遺骨を納めることになったのですが、30年前は新品だった墓石も、つい「アレから30年・・・」とどこかのきみまろさんのようなセリフが口をついて出そうなほど、案外劣化しちゃってます。
墓石に名入れをした後、墓石を戻す際に固定のためにコーキング処理をするそうですが、薄汚れ、黒ずんだ墓石にそのままコーキング材を施工すると、かなり見栄えが悪いとのこと。。。
黒ずみを落とすには、別途料金を払ってクリーニングをしてもらうか、自分たちの手で磨くかしかありません。施工が決まって余裕があれば、本格的に磨いておくとご先祖様に申し訳が立つかも・・・!?
そうやって、少しずつ、故人と過ごした日々や喪った寂しさに折り合いをつけながら、前をむかなきゃって思えるようになっていくのかなぁ・・・としみじみ思う今日この頃です。